著書紹介『ファミリーヒストリー 家族史の調べ方・まとめ方』
この記事は宮徹オフィシャルサイトから転載した著書の紹介です
明治維新、戦争、震災 - 家族はどう乗り越えてきたのか?
(本書はじめにより抄録)
明治維新は政治の世界は言うに及ばず、日本人の暮らしにも大きな影響を及ぼし、社会を一変させました。一斉失業して転職を余儀なくされた武家はもちろんのこと、商家や農家にもです。
私の母方の先祖は宮城県北部の商家ですが、江戸時代は奥州街道沿いの宿場町で宿屋を営んでいました。武家とは違って明治維新自体の直接的な影響はなかったのですが、後々の社会の変化に伴って、やはり変化を余儀なくされました。
とくに、明治中期に盛岡まで鉄道が開通すると、途中の宿場町は一気に衰退しました。時の家督さん(母方の曽祖父の兄にあたります)はこの状況の中で、何代続いていたさえわからないほど住み慣れた地を離れることを決断、北海道に渡って、札幌で新たに旅館を始めています。商家とて明治維新とは無縁ではいられなかったのです。
この大きな節目以降の家族の歴史が、今だったら、ある程度はつかめます。
しかも、明治維新から現在まで一世紀半の間には、戦争があり、また、震災がありました(一口に震災と言っても、東日本大震災もありますし、関東大震災、あるいは阪神淡路大震災もあります。ご家庭ごとでどの震災を思い起こすかは違ってくるでしょう)。
これらの大きな出来事を家族はどのような形で体験し、乗り越えてきたのか。その貴重な体験を子孫に残すか、残さないかと問われて、判断に迷うことなどないでしょう。
放っておけば、昔のことはどんどんわからなくなります。早めに家族史として文章にまとめ、子孫にしっかり伝えていくことを考える時期にあるように思います。
こう言うと、何か義務的で仕方なくやることのような感じがしますが、やってみると、家族史づくりは案外、楽しいものです。何か歴史のミステリーを解いていくような感じです。 それがまた、自分と血のつながった先祖のことですから、何とも言えない、まさに親近感を覚えます。
かく言う私自身、義務的に三カ月ぐらいでチャチャと済まそうぐらいに思っていた話だったのに、どんどん引き込まれてしまいました。
その過程では不思議なことが起きるかもしれません。 家族史づくりは亡くなった先祖と会話をする作業とも言えますから、調査で行き詰まっているような時、先祖が天国から降りてきて耳元でささやいでくれるのです。
そうとしか思えない、
(あれっ、自分は今、なんでこんなこと気が付いたんだろう?)
というような不思議な体験を私は何度もしました。
そして最後には、意外な結末が待っているかもしれません。
と、前置きはこれくらいにして。
さあ、皆さんもご先祖の謎に迫る歴史ミステリーの旅へ!
2015年秋
宮 徹