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龍馬以外にも教科書から消えそうな人物-幕末編

 近い将来、高校の歴史教科書から坂本龍馬の名が消えるかもしれない-。そんなニュースが流れ、世間を騒がせました。高校と大学の歴史教育者で作る「高大連携歴史教育研究会」が、教科書の用語数を削減しようという提言をしたためです。

 

 実はニュースになった坂本龍馬以外にも、「えーっ」と思うような有名人が教科書から消える可能性があります。今回は、とくに幕末について、具体的に誰が残って、誰が消えそうか、見ていきましょう。

 

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龍馬以外にも教科書から消えそうな人物がこの中にいる。えっ、全員!?

 

 同研究会では今回、ただ用語の削減を総論として提案するばかりではなく、どの用語を残すか具体的な提言までしています。そこで、坂本龍馬の名前がない、ということで話題になったわけですが、龍馬以外にも結構な歴史上の有名人まで教科書から消えようとしています。

 

 具体的に見ていきましょう。同研究会の「高等学校教科書および大学入試における歴史系用語精選の提案」(第一次)には「用語精選案」として具体的な用語があげられています。その中で、幕末に当たる「幕藩体制の崩壊」の項目から、人物名のみピックアップすると、以下のようになります。

 

 ペリー、ハリス、プチャーチン、孝明天皇、徳川家茂、徳川慶喜、井伊直弼、勝海舟、和宮、明治天皇

 

 たったの10人です。たしかに坂本龍馬の名前はありません。

 

 と、歴史ファンの皆さんの中には、ほかにも、あることに気づいた方もいらっしゃるでしょう。

 

 そうです、西郷さんがいない!。

 

 実際には、西郷隆盛は明治に入ってから、征韓論との関連で名前が出ているので、完全に教科書から消えるというわけではないのですが、この提案がそのまま通れば、幕末部分の記述からは消える可能性があります。

 

 完全に消えるわけではないということで、今回、あまりニュースにはなっていませんが、西郷さんのファンからすれば幕末の活躍をイメージされる方が多いでしょう。実は龍馬同様、西郷さんも危機にあるわけです。

 

 このほかにも、現行の教科書(高校での教科書採択率の高い山川出版社の『詳説日本史B』2017年版)にあって(太字表記)、精選案にない人物をあげると、

 

 

 ビッドル、阿部正弘、堀田正睦、徳川家定、三条実美、西郷隆盛、大久保利通、高杉晋作、桂小五郎、岩倉具視

 

がいます。ただし、西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎(=木戸孝允)、岩倉具視については、明治初期に表記されるよう提案されています。

 

 とすると、高杉晋作も龍馬同様、完全に消えることになります。

 

 ※ただし、この議論はさらに大きなもので、2022年度をメドに高校での歴史教育は激変が予想されます。世界史と日本史を融合した「歴史総合」が新設され必修化、従来の日本史は新たに「日本史探究」となり、選択科目となります。龍馬の名前どころの話ではなく、教科書の記述スタイルそのものが大きく変わる見通しです。詳しくは下記リンク『歴史界激変!?、「歴史総合」を拙速に導入するな』をご覧ください。

 

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